太平洋島嶼国エネルギー等事情調査報告書
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表 4-2 将来像、目標、行動指針と戦略 2) フィジー共和国低炭素開発戦略2018-2050 フィジー共和国低排出開発戦略(Fiji Low Emission Development Strategy: LEDS)2018-2050は、・ 食糧安全保障:農業部門の弾力性強化 ・ 生物の生態系保全・脆弱な種の保護:自然を尊重した開発計画およ・ 災害管理・社会基盤の強化:ジェンダー、障害、子どもや高齢者の出所:Fiji’s Updated Nationally Determined Contributionを参照し受託者作成 出所:LEDS 2018-2050を基に受託者作成 NDCでは、「2030年までにエネルギーセクターからのCO2排出量をBAU比で30%削減する」というGHG目標が設定されており、同目標を達成するためにエネルギーセクターのGHG削減に向けた動きが加速する可能性が高い。それに呼応する形で、非GHG目標では再エネ発電100%、エネルギー効率改善、海上輸送の排出量削減が挙げられており、これらの非GHG目標の達成に貢献する技術の導入が求められていることがわかる。 2050年までフィジー共和国で低排出開発を達成するための道筋を明確にするために、2018年にまとめられた。同開発戦略において、2021年までに電力アクセスを100%とし、2036年までに発電を100%再エネにすることが言及されている。また、経済の全セクターにおいて2050年までに正味炭素排出量をゼロにすることを目指しており、脱炭素を実現するために目指している各セクターのキーアクションは以下のとおりである。 26 セクター 電気・エネルギー使用 陸上郵送 海上輸送 国内航行 農業、林業、その他土地利用) 廃棄物 その他 び立法措置の策定 ニーズを優先させた対策の実行 キーアクション ・経済全体のエネルギー効率化対策、能力強化、教育 ・再生可能エネルギーとスマートグリッドのための能力強化 ・太陽光発電、水力発電、バイオマス発電、風力発電、廃棄物発電、バイオガス発電、地熱発電、蓄電池の新規導入 ・国家的な電動モビリティ戦略 ・ハイブリッド車や電気自動車への移行 ・公共交通機関およびモーターを使わない交通システムの推進 ・海上輸送の脱炭素化のための国家行動計画 ・2 ストロークエンジンから 4 ストロークエンジンへの移行 ・伝統的な航海文化の活性化と 低炭素船舶の開発 ・効率的な航空機への国内機種の入れ替え航空機への変更 ・すべての非電化空港のゲート電源を太陽光発電への移行 ・バイオジェット燃料への移行 ・森林破壊の削減と植林の生産性向上 生産性の向上 ・広範な植林 ・腸内発酵の削減、糞尿管理、合成肥料の使用に関する農家研修の実施 ・リデュース・リユース・リサイクル(Reduce, Reuse, Recycle: 3Rs)政策 ・下水処理場と埋立地での廃棄物発電システム 廃棄物管理に関する啓発活動 ・廃棄物管理に関する意識向上プログラム フィジー共和国のLEDSの今後の更新にマングローブとその他の沿岸湿地を含めることで、フィジー共和国経済の脱炭素化を達成する可能性についても言及あり。

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