上記案件はいずれも気候変動適応策およびエネルギー分野に関連するが、2022年7月時点で実施されている主なODA案件は、「気候変動に対する強靭性向上のための大洋州人材能力向上プロジェクト」などである。主なODA案件の概要は以下のとおりである。 表 7-11 関連ODA案件プログラム 表 7-12 JICA民間連携案件の採択実績 出所: JICAウェブサイトを参照し受託者作成 プロジェクト 気候変動に対する強靭性向上のための大洋州人材能力向上プロジェクト 出所:JICAウェブサイトを参照し受託者作成 案件名(企業、年度) ヤシ繊維を活用した濁水処理対策に関する案件化調査((株)南西環境研究所、(株)ウエスコットウエスト 共同企業体、2015年度) 大洋州地域における廃プラスチック油化装置の普及に向けた案件化調査((株)ブレスト、(株)富士通総研、(株)かいはつマネジメント・コンサルティング 共同企業体、2013年度) サモア独立国 アピア近郊に再生可能エネルギーを使った沖縄・宮古島モデル案件化調査(福山商事(株)、(株)沖電システム、一般財団法人南西地域産業活性化センター 共同企業体、2012年度) バイオログフィルターを活用した環境改善及び災害リスク低減に関する普及・実証事業((株)南西環境研究所、(株)ウエスコットウエスト 共同企業体、2017年度) アラオア浄水場緩速ろ過池(生物浄化法)改善への普及・実証事業(福山商事(株)、2012年度) 86 サモア独立国で実施されたJICA民間連携案件において、気候変動の緩和・適応に関連するプロジェクトは以下のとおりである。 案件概要 日本の無償資金協力でサモア独立国に建設された太平洋気候変動センターにおいて、大洋州諸国の気候変動分野関係省庁・機関を対象に気候変動適応、気候ファイナンスへのアクセス向上、気候変動緩和に係る研修を通じた能力強化が行われている。 案件概要 沿岸域の環境悪化防止を目的として開発された天然ヤシ繊維素材の「バイオログフィルター」は、濁水中の土粒子を効果的に補足する濁度低減・水質改善資材、自然植生の回復を促す緑化材、流木捕捉や土壌流失を防ぐ浸食防止材として活用される。サモア独立国の水源域の涵養能力・生物 多様性の向上、濁水の影響を受けやすい沿岸部のサンゴ礁生態系の保全を目指し、同製品の導入に向けて実施された案件。 プラスチックを油に変える装置を用い、これまで投棄場に投げ捨てられていたプラゴミを利用して油を生産することで、深刻化するゴミの減量、 処理場の延命、及び石油類の輸入削減に貢献する案件。サモア独立国、フィジー共和国、パラオ共和国が対象国。 生物浄化法による浄水、天然物由来の凝集剤、再生可能エネルギー(太陽光発電・小水力発電)を活用し、原水取水技術、導水・送水路の設計技術、水源地保全技術により原水取水、浄化・配水、料金回収までの水道事業全般に亘る事業を展開し、サモア独立国における安心で安定した給水を目指した案件。 上述、天然ヤシ繊維素材の「バイオログフィルター」のサモア独立国国内における普及、事業後のビジネス計画の策定に向けて実施された案件。 安定した安全な水の供給を可能にする既設堰の活用および逆洗管を用いた伏流水取水法を試験的に導入し、濁度と取水量のデータ観測、 関係者への施設に関する基礎知識・維持管理に関する研修および事業成果広報のセミナーを実施した案件。
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