パプアニューギニアガイドブック
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89 ニューブリテン島は長らくひとつの行政区であったが、1966年に東西に分割され、東半分がラバウルを州都とする東ニューブリテン州となった。東ニューブリテン州は火山地帯で、州北部のガゼル半島では「ラバウル・カルデラ」と呼ばれる巨大な火山クレーターが海に沈んだシンプソン湾を囲みバルカン山、カビウ山、ラバナカイア山、タラングナン山、タブルブル山などの火山群が噴火を繰り返してきた。ガゼル半島ではこれらの火山灰によってもたらされる肥沃な土壌を利用したココナッツやカカオなど商品作物の栽培が盛んである。 1994年9月にバルカン山とタブルブル山が大噴火し、巨大な噴煙とともに大量の火山灰が降り注いだ。この大噴火によりラバウルの町の半分ほどが灰に埋もれ、州政府施設や企業と住民の多くは、約20km離れたココポに移り、それまで過疎地だったココポは新しい州都として急速に発展している。 一方ラバウルのシンプソン湾は大型客船も入港できる天然の良港で、重要な物資輸出入港であるため、依然その役割を果たしている。 太古からラバウルを有するガゼル半島に暮らしていたのはバイニング族であったが、数世紀前にニューアイルランド島より集団で移住してきたトーライ族に追いやられて険しい山間部に移り住み、ひっそりと自給自足の生活を送ることになる。 なお「バイニング」はトーライ族のクアヌア語による複合語で「野蛮な森の住人」の意味である。火山灰に埋もれ廃墟になった建物ココポにあるコーヒーショップと24H営業のコンビニエンスストアラバウルのシンプソン湾東ニューブリテン州(East New Britain Province)

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