パプアニューギニアガイドブック
83/114

歴 史産 業81 ヘラ州は北を東セピック州とエンガ州、東南部を南ハイランド州と接し、西はウエスタン州と接する内陸の州で、多くの町は標高1500m以上の高地にある。 2018年2月26日にヘラ州を中心にマグニチュード7.5の地震が襲い、がけ崩れなどで大きな被害を出した。この影響でコモ空港の滑走路に亀裂が入り、LNGの生産も一時中断する事態となった。 またヘラ州最大の部族はフリで、フリはハイランド州各地、レイやポートモレスビーなどへ移住した人も含めるとパプアニューギニアで最大数の部族でもある。 この州はかつて独立以来メンディを州都とする南ハイランド州の一部であった。 祖先「ヘラ」を始祖とする部族は、その子供たちであるオペネ、フリ、ドゥナ、トゥグバ、ヘワの部族に分かれ各地へ移住し、タリを中心とする地域、マガリマ、コピアゴ湖周辺、エンガ州一帯、ウエスタン州やセピック州の一部にまで広がっていった。 この部族の歴史から、この地域一帯に住むヘラの部族たちは互いに兄弟としての認識を持ち、「ヘラ」の国として独立したいと長く間願っていたが、ついに2012年、南ハイランド州の西部を中心にヘラ州として独立した。 1987年にハイズ(Hides)ガス田が発見され、1991年に生産が開始された。 当初、この天然ガスは隣接するエンガ州のポルゲラ金山の電力供給に使われたが、2000年代初めにはオーストラリアのクイーンズランド州へパイプラインを繋いでガスを供給・販売する話が持ち上がっては消え、最終的に米国エクソンモービル社がこの地域で生産されるガスを陸上300km、海底400kmのパイプラインによりポートモレスビー近郊まで輸送し、独自に建設するLNG(液化天然ガス)プラントでLNGを製造・輸出する事を決め、PNG LNGプロジェクトとして事業化が決定した。 2014年4月に生産が開始されたLNGの生産は年間800万トンの生産能力を有し、販売契約のうち約50%が日本向けである。またエンガ州との州境にはマウント・カレ金山もある。 一方、伝統的にサツマイモの栽培、養豚や養鶏での自給自足の生活を送ってきたヘラの人々の生活は、現在でも大きく変わっていない。商品作物の栽培としてはコーヒーに加え、マガリマ地区では除虫菊の栽培も行われている。ヘラ州(Hela Province)

元のページ  ../index.html#83

このブックを見る