パプアニューギニアガイドブック
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地理と地勢6事態宣言が出された。紛争は長期化したが、1999年7月に人民民主運動党のサー・メケレ・モラウタ党首を首相とする政権交代があり、最大の懸案であるブーゲンビル問題についてニュージーランドの仲介で和平協議が開始された。 2001年8月に中央政府と分離独立派との間で、(a)ブーゲンビル自治政府の創設、(b)ブーゲンビルの将来の政治的立場についての国民投票権の創設、(c)武器撤収計画の3つを柱とする「ブーゲンビル和平合意」が署名された。 パプアニューギニア政府は、南太平洋諸国との協力関係の重視と、オーストラリアとの関係重視、インドネシアとの善隣関係重視、さらには、ASEANとの関係強化及び日・米等との貿易・投資関係を重視している。●経済動向 パプアニューギニアは豊富な天然資源(液化天然ガス、原油、金、銅、コバルト、木材、水産物、パーム油など)に恵まれ、輸出所得の70%を鉱物資源の輸出が占めている。2003年以降は金、原油、銅などの鉱物資源、コーヒーやココアなどの農水産物の好調な輸出、国際商品価格の高騰、順調な気候条件、安定した政権、財政金融政策の引き締め、貿易政策の改善により経済はプラス成長を続けており、今後も暫くこの傾向が続くものと見られている。最近は観光資源の開発に力を入れており、輸送や旅行者用諸施設などのインフラ整備への投資が活発化している。 一方、85%の国民は自給自足の農業および漁業に依存しているが、都市部の貨幣経済と村落部の自給自足経済が混在する二重構造となっている。現在の人口は約860万人であるが、その失業率は地域により2%~3%である。 同国は、基本的な不安定要因として、予測できない天候の変化、原油、農産品などの国際商品価格の不安定さ、ガス・パイプライン・プロジェクトを含む大規模開発案件の推進などを抱え、地理的条件により莫大なコストを要するインフラ整備、極端に低い人口密度、複雑な土地所有制度、深刻な治安問題、遅々として進まない人材開発などがあげられる。 2011年から約8年に渡り国を率いてきたオニール首相は2019年、同首相に不満を持つ閣僚を含む国会議員の与党からの離脱や内閣不信任案の提出等により、内政状況が不安定化。同年5月下旬、更に多くの国会議員が与党を離脱したことを受け、オニール首相が辞任を表明。首相選出の投票が行われ、マラペ前金融相が首相に選出された。新政権は今後も公共部門の改革をはじめとする各種政策の着実な実施により、海外投資家の信頼を醸成し経済の安定と成長を図らなければならないという難しい政策運営を迫られている。 オーストラリアの北160㎞、赤道の直

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