パプアニューギニアガイドブック
70/114

歴 史68 ニューギニア島の国土中央部に位置し、ウイルヘルム山(4509m)やギルウェ山(4367m)などの最高峰の山々に囲まれ、ワギ、バイヤー、ネビリヤーなど多くの渓谷地帯が存在する。これらの肥沃な土地と豊富な雨量に恵まれ、高原野菜やコーヒーなどの農産物の生産地としても名高い。 かつての西ハイランド州の人口は、南ハイランド州に次いで全国2位であったが、2012年にジワカ州として一部が分離した結果、西ハイランド州の人口は約36万人、ジワカ州は約34万人となった。 この2州には10の言語があり、その1/3はメルパ語を話すメルパ族である。メルパ族の民族衣装の特徴は、極楽鳥、インコ、フクロウなど色とりどりの羽根飾りに、顔全体に派手なペイントをすることだ。 ワギ渓谷の中に位置する肥沃な湿地地帯であるクック湿地帯(Kuk Swamp)には、約2万年位前から人が住み始めたと言われている。この地域では少なくとも9000年前には灌漑設備の整った農業が行われていたことが明らかになっている。これは現在までに判明している中で、メソポタミア文明や黄河文明に匹敵する、人類史上最も早い農業の痕跡であり、「クック初期農業遺クク遺跡エリアは現在、埋め戻されている跡」として2008年にユネスコの世界遺産に登録された。尚この遺跡は、保護のため埋め戻されており、残念ながら現在は見学できない。 この地域は、今日でも肥沃な湿地帯であり、深さ2-3mの側溝が畑を囲むように掘られ、おそらく9000年前と大きく変わらないスタイルの農業を営んでいる。 1933年、最初に西洋人としてこの地に入ってきたのが、オーストラリアの植民地統治官のジム・テイラー(Jim Taylor)今も変わらない側溝を掘る農法ニューギニア島山岳地域(Highlands Region)西ハイランド州とジワカ州(Western Highlands Province / Jiwaka Province)

元のページ  ../index.html#70

このブックを見る