パプアニューギニアガイドブック
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産 業教育研究機関30対し、帰国したソマレ氏が最高裁判決を得て「決議は憲法違反であり自分が首相である」と主張した事から、二人の首相、軍司令官、警察長官が立つ異常事態となり、一触即発の緊迫状態が続いた。なお、この政争は2012年まで続いたが、総選挙でオニール氏が新首相に選ばれると両者は和解して事なきを得た。 2018年にはパプアニューギニアで初めてのアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催された。治安の問題やインフラ不足で大型の国際会議に対応できるのか心配されたが、各国の協力もあり、2月から始まった各部会や実務者会議がから11月の首脳会議まで大過なく終え、開催国としての面目を保った。 ポートモレスビーは農業と製造業以外の民間企業の本社が集まり就労者数は国内で抜きんでている。 国内通信のデジタル化に伴い2007年から携帯電話産業に参入した国際企業のデジセル社は、近年インターネット・プロバ首脳会談が行われたAPECハウスイダーやケーブルテレビ局等の買収を行い、電波ビジネスの寡占を図っている。 小売業では建設バブルに呼応して2011年、スーパーマーケット、レストラン、フードコート、各種専門店、銀行、映画館、ナイトクラブなどを持つ大型複合商業施設「ビジョンシティ・メガモール」が開業している。また近年は中国資本の流入が大きく、ダウンタウン地区では中国国営企業による23階建ての複合施設「ノーブルセンター」が建設されている。 一方地元資本ではPMV(乗り合いバス)やタクシーといった交通機関の運行が大きなビジネスであり、治安が悪く警察力が脆弱なため、会社、アパートメント、ホテル等向けの民間警備会社も多くの警備員を雇用する主要産業となっている。 物流では19世紀後半の開港以来、ポートモレスビーの流通を担い、レイに次ぐ取扱高を誇るダウンタウン地区の港湾設備が、都市再開発計画により郊外のフェアファックス港のモトケアに移った。 パプアニューギニア大学 University of Papua New Guinea(UPNG)は国の最高教育機関として1965年の創立以来、政官界を中心に人材を送り出している。独立から現在に至るまで8名の首相のうち4名がUPNGの卒業生である他、国会議員、中央銀行総裁、最高裁判事、各省庁の事務次官などの要職を占める。また国内唯一の医

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