パプアニューギニアガイドブック
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27る不法居住区に住み、犯罪の温床や部族間抗争の頻発地域となる他、居住空間の過密化に加え水道や電気のインフラもないため、保健衛生上の問題も発生している。こうした問題から現在でもポートモレスビーは、内戦や紛争が続くアフリカや中東地域の都市と並んで「世界で最も住みにくい街」と言う不名誉なランキング上位に位置している。 政府や一流民間企業が集中し高学歴者が各地から集まるポートモレスビーの識字率は90%近くで他州と比べると群を抜く。一方、他州からの移住者が増えた結果、この地域の原住民であるモツ=コイタブ族の人口比率10%を切るに至っている。 2000年代後半、米国エクソンモービル社が主導し日本企業も参画するLNG(液化天然ガス)プロジェクトが始まり大量の外国人労働者、出張者が流入し、ホテルやアパート等が瞬く間に満室になり、大幅な供給不足に陥った。この時、市内の殆どのホテルでは予約が取れず、ホテルの宿泊料やアパートの家賃は短期間のうちに3倍以上に高騰した。この不動産バブルにより小規模なロッジから大型のホテル、アパート等の建築ラッシュが始まり、続く2015年パシフィックゲームズ(太平洋スポーツ大会)、2016年FIFA 女子U-20ワールドカップ大会、そして2018年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)という大型イベントの開催が相次ぎ、大型ホテルの新規開業、道路網の整備が行われてきた。 こうした急激な需要増による近代化で都心部では土地不足となり、現在ポートモレスビーの都市開発は空港よりも郊外へと広がり、それまで不法居住区(セトルメント)と雑貨商しかなかった9マイル付近に大型のスーパー・マーケットやガソリンスタンド、中産階級用の住宅地区などが造成され始めた。APECで整備された国会議事堂前の道路

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