パプアニューギニアガイドブック
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歴 史99 ニューアイルランド州はビスマルク諸島の東端に位置し、ニューアイルランド島の他、150近い島々が南緯2度から5度にわたって広がる島嶼州である。ニューアイルランド島は全長350キロにわたる細長い島で、最も狭い場所では幅5kmほどしかない。ナマタナイより南部はハンス・メイヤー山脈がそびえ、タロン山(2340m)をはじめ急峻な地形となり、林業のキャンプ地が散在するが、住民が少ない過疎地となっている。西はセントジョージ海峡を挟んでニューブリテン島が間近に浮かぶ。 少なくとも3万年前にはすでにニューアイルランド島に人類が居住していた痕跡が認められており、エメラウ島、ムサウ島など、ニューアイルランド島周辺の島々では3,000年以上前のラピタ土器の発掘があり、隣接するニューブリテン島を含め、この地域が初期のラピタ文化の重要な一部を担っていたであろうことが推測されている。 また19世紀にはいると欧米の捕鯨船が水や薪の補給のために頻繁に立ち寄っていた。アメリカの捕鯨船に乗り込んだジョン万次郎も1847年代にニューアイルラン州都ケビエンの浜辺の市場ド島に寄港した記録がある。 19世紀末、ドイツ領ニューギニアとなったニューアイルランドはドイツ語でノイ・メケレンベルグ (Neumecklenburg)と名付けられた。この時代に行政長官として赴任したフランツ・ブルミンスキは東海岸の各地区の住民を使って道路を建設させた。この海岸道路は後に「ブルミンスキ・ハイウェイ」と呼ばれ、ココナッツのプランテーションと共に、現在まで残るドイツニューギニアの功績である。1942年1月、太平洋戦争開戦とともに旧日本軍が侵攻し終戦まで占領した。州都ケビエン中心街にある日本軍の大砲ニューアイルランド州(New Ireland Province)

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