パプアニューギニアガイドブック
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社会と人々教 育宗 教8 パプアニューギニアは21の州と首都区で構成されている。2018年、世界銀行の統計では総人口約860万人となっており、内約37万人が首都ポートモレスビーに居住している。 パプアニューギニア人は歴史的に見ても多くの混血を繰り返し、数多くの部族に分かれたと考えられている。これは植民地時代の住居の強制的な移動などにも影響されている。文化や歴史的な関連性からは、南に多いパプア人、北に多いニューギニア人、そして高地人と島に住む島人に分かれる。また、体型あるいは肌の色によっても分けることが出来る。●メラネシア社会 多数の部族に分かれていても、いずれもメラネシア人であり共通点を有している。パプアニューギニアの発展の速度は速くなっているが、それでも大半の人々は農業による自足自給の生活である。従って、伝統的社会がそのまま残っており、社会の最も重要な基盤は部族である。若者は年配者のために働き、家族は一族のため、一族は部族のために結束する。 貨幣経済が次第に広がっている一方で、中央高地やセピック川の中、上流域では従来からのシェルマネー(真珠貝などの貨幣)や豚のほうが依然として価値があったりする。現在でも一部地域ではシェル・マネーが使われており、他には冠婚葬祭での贈り物として重要な意味を持っている。●ワントク(Wantok) パプアニューギニアには、人々の間に「ワントク」と呼ばれる仲間意識(義理のようなもの)がある。「ワントク」(Wantok)は、文字通りには「ワン・トーク」(0ne talk)または「同じ言葉」を意味するが、さらに「同じ家族」、「同じ部族」と言う意味が加味される。誰かに助けてもらった場合は、自分が損をすることになっても相手を助ける義務を負う。この意識が、資本主義的もしくは西洋的な生活様式、ビジネス様式に組み合わされた場合、問題が生ずる原因になることがある。 パプアニューギニアの教育制度は、基礎学校3年(日本における幼稚園年長〜小学校2年生)、初等学校6年(同小学校3年生〜中学校2年生)、中等学校4年(同中学校3年生〜高校3年生)、大学4年となっている。また、現在は政府の方針により、公立校は中等学校まで、教育費が無料となっている。 パプアニューギニアは憲法でクリスチャンの国であると宣言している。カトリック教徒が約28%、ルター派が約23%、ユナイテッド教会が約13%で、その他は英国国教会など広い宗派に属している。一方で依然として伝統的な宗教や精霊が信仰されている。

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