キリバスガイドブック
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5 戦前はギルバート諸島のブタリタリに、日本の貿易会社が支店をおき、貿易を行っていた。太平洋戦争中はバナバ、タラワ、アベママを日本軍が占領。特にタラワは激戦地として知られている。その後キリバスは1979年に独立し、戦前からの深い関係を引き継ぐ形で、日本からの経済援助が継続している。ビケニベウ発電所、トゥンガル総合病院、べシオ港などの主幹インフラが日本の経済援助によって建設された。またJICA海外協力隊も派遣されている(2022年11月現在新型コロナウィルスの影響により派遣一時停止中)。 貿易関係では、日本は主に自動車、船舶用エンジン、船外機、金属製品を輸出している。一方キリバスからの輸入品としては魚介類(かつお、まぐろ)などが中心であるが、近年はクリスマス島で採取される海各島に地方役場・議会が設置され、地方自治体として機能している。 キリバスの経済は1900年ごろから1979年までの約70年間にわたり、バナバ(オーシャン)島のリン鉱石に依存していた。しかし、79年に英国から独立した時には既にリン鉱石は枯渇しており、以降リン鉱石に替わる輸出品の開発が大きな課題となっている。現在のキリバスの主な輸出品は魚介類(特にマグロ)、コプラ、海塩、海藻、観賞魚などである。キリバスはカツオ・マグロといった水産資源の宝庫である広大な経済水域を有するため、水産資源はリン鉱石枯渇後の最も重要な資源として期待されている。しかし、沿岸海域中心の小型船団による操業では実績をあげるのは難しく、近年では観光開発の努力も行っており、クリスマス島などが有望視されている。 主な財政収入源としては、関税等収入の他、外国漁船入漁料、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)によるクリスマス島地上局使用料、諸外国からの援助および過去のリン鉱石の売上の一部を積み立てた歳入均衡準備金(RERF: Revenue Equalisation Reserve Fund)の運用益などがある。また日本の遠洋カツオ一本釣り漁船を含む海外船舶の乗組員や、海外への出稼ぎ労働者による本国送金も、国民経済の大きな柱になっている。経 済日本との関係

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