太平洋島嶼国エネルギー等事情調査報告書
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1) 導入実績 2019年時点のTPESは199,547TJ であり、そのうち石油などの非再エネ由来が110,035TJ(55%)、再エネ由来が89,512TJ(45%)であり、半分以上のTPESが非再エネ由来である。同年の再エネ消費量は、エネルギー源別では、電力として消費された量が3,752TJ(5%)、バイオエネルギーとして消費された量が71,280TJ(95%)であり、大半がバイオエネルギー向けである18。運輸・産業・民生セクター別では産業向けが6,037TJ(8%)、民生向けに59,409TJ(85%)で、そのほかが10,497TJ(14%)であり、民生向けに再エネが多く利用されていることがわかる。2021年時点における再エネ発電設備容量は、PNG全体で335.103MWであり、そのうち太陽光が2.996MW、水力が257.795MW、バイオエネルギーが18.312MW、そして地熱が56MWである19。 セクター別GHG排出量において、エネルギー、土地利用・林業からのGHG排出量が突出して多く、NDCにおいてもGHG目標として挙げられている。また、農業からのGHG排出量が多いこともPNGの特徴として挙げられる。農業から排出されるGHGのうちN2O(亜酸化窒素)16の量が最も多く、N2Oを削減する技術として、たとえば「精密農業」による農業窒素効率の最適化、土壌微生物活性を抑制する阻害剤の使用、施肥設計の最適化などが挙げられる17。これらの技術は、気候変動の影響を受け食料不足などが懸念される中、適応策として農地開発が必要となるPNGにおいて、農地開発と共に普及していく技術として期待される。 3.1.3. 再生可能エネルギー (1) 再生可能エネルギー導入状況 TPES 10 エネルギー源別再エネ消費量 16 N2Oは二酸化炭素(CO2)の約300倍の温室効果を持ち、主に農業活動から発生する。 17 NEDO (2021) 技術戦略研究センターレポート「温室効果ガスN2Oの抑制分野の技術戦略策定に向けて」 18 薪やチップ、ペレットを燃やして煮炊きなどをしている可能性がある。 19 IRENA(2022) 出所:Climate Watchを参照し受託者作成

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