太平洋島嶼国エネルギー等事情調査報告書
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2) パラオ共和国再生可能エネルギーロードマップ(Republic of Palau: Renewable Energy 2022年6月、パラオ共和国政府は2050年までの電力セクターと運輸セクターの再エネ100%の達成に向けたロードマップを策定した。目的を達成するために、電力セクターに関しては太陽光発電と風力発電、そして蓄電池を備えたグリーン水素が検討された259。また、運輸セクターに関しては、バッテリー式電気自動車(EV)の配備の可能性を評価し、特に海上輸送分野では水素燃焼電池船についても検討がなされた。同検討結果をもとに、同ロードマップでは①既存システムの最適化、②再生可能エネルギー100%、太陽光発電+風力、③再生可能エネルギー100%、太陽光発電のみ、④再生可能エネルギー100%、水素併用、⑤再生可能エネルギー100%、水素+電気自動車、の5つのシナリオが発表された。5つのシナリオでは①を除いて、再エネでは太陽光発電が主要電源となっていることがわかり、NDCのエネルギーセクター「発電」と関係して・ 埋立地ガス排出を分析し、国営埋立地での埋立地ガス回収プロジェ・ 生物多様性保全と天然資源:海洋・陸域生態系の気候変動・災害に・ インフラ:気候変動と災害リスク管理の国家政策への統合、インフ・ 教育:学校カリキュラムへの気候変動・災害管理の組み込み、教師出所:Climate Watch, Intended Nationally Determined Contribution, Palau Climate Change Policyを参照し受託者作成 パラオのNDCからは、エネルギーセクターにおけるGHG排出量削減に対して、国家として再エネだけではなくエネルギー効率化を重視していることわかる。NDCでは、「2025年のエネルギーセクターからのGHG排出量を22%削減する」というエネルギーセクターに焦点を当てたGHG目標が設定されている。そのうえで、非GHG目標として「25年までに再エネ45%」、「2025年までに35%のエネルギー効率化」を設定している。目標を達成するために、「発電」では再エネ設備容量の追加、エネルギー改善プログラムなど、発電と共にエネルギー効率化(省エネ含む)の施策を打ち、「運輸」では4ストローク船外機のみの使用、バイオ燃料の使用、そして、廃棄物セクターでは「埋立地ガス回収プロジェクト」の実施可能性を検討している。 Roadmap) 2022-2050258 104 適応セクター ・ 農業・水産業:強靭な農業・水産養殖にかかる国家戦略の実施、サンゴ礁の保護・改善、海洋生態系保全、気温変化と海洋酸性化に対する耐性構築等 ・ 健康:既存の医療インフラの能力と回復力強化、障がい者を含む脆弱なコミュニティにおけるレジリエンスの強化、予防のための保健サービス改善等 して資金供給が未実施 クトの可能性を評価 対する回復力強化、炭素吸収源の管理枠組みの構築等 ・ 社会・文化:移転・転居緊急支援プログラムの確立等 ・ 観光:政策における気候変動と災害リスク管理の主流化、観光施設・事業のリスクアセスメント、災害に強い観光施設への改善等 ラ設備のリスク管理計画策定等 ・ 公共:水資源管理計画の策定等 ・ 金融・経済:気候変動や災害によるリスクに対応する法規制の枠組み強化等 用トレーニングモジュール開発、専門家育成等 258 https://www.irena.org/publications/2022/Jun/Republic-of-Palau-Renewable-Energy-Roadmap 259 海洋温度差発電(OTEC)は、比較的新しい技術であるため、この分析ではオプションとして考慮しない。

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