トンガガイドブック
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6社会と人々人 口産品(ココナッツ、カボチャ、マグロ等)を輸出しているが、燃料や食品の輸入額が大幅に輸出額を上回っており、大幅な貿易赤字となっている。トンガ経済は国家レベルでは各国の経済援助に、家庭のレベルでは国外に居住する親族からの仕送りに大きく依存している。また、中国に対する多額の債務の返済計画も大きな課題となっている。 トンガ人の多くは、長身でがっしりした体躯のポリネシア系民族で、世界一大柄な国民とも言われている。キャプテン・クックに「フレンドリー・アイランド」と命名されたように、人柄も大らかで、温かい。 近年には、二重国籍が容認されている事から、トンガ国籍にNZかオーストラリアなどの2つの国籍を持つ国民も増え、親族が海外で暮らしているケースは大変多い。また、かつてトンガ政府が中国人にパスポートを発行したことがあり、相当数の中国系住民が店舗(ファレコロア)やレストランの経営をしている。それに加えて、英国連邦や欧米出身の住民、少数ながらインド系やフィジー系、他の南太平洋諸国系、アジア系の住民がいる。日本や日本人に対する印象は良く親日的。だが中国人と間違えられやすいので「Siapani-シアパニ (日本人)」と伝えると良いだろう。 トンガは国王を頂点として、王室、33のタイトルを持つ貴族とその家族、平民から成る階層的な社会構造を持っている。家族の絆は強く、二世代、三世代の同居は普通。父方母方を問わず、親族同士の付き合いも、日常生活から冠婚葬祭まで広く濃く、親族の子を養子とするのもごく普通である。とはいえ、海外暮らし経験者も増え、徐々にではあるが核家族での居住も増加傾向にある。 宗教はキリスト教が深く浸透しており、生活への影響も大きい。各村には複数の教派の教会があり、多くの人が日曜日は家族で着飾って礼拝に行くだけでなく、平日の聖歌の練習会、集会など教会関連の行事に積極的に参加し奉仕している。同じ教会に属する人々は、親族同様に強い絆で結ばれている。 また、トンガ人は、互いの尊重、分かち合い、謙虚と寛大、忠誠心と献身を美徳とし、親と年長者を敬う、本音と建前を使い分ける、世間体をかなり気にする、控えめな感情表現と内に秘めたプライドの高さなど、日本人との共通点も多い。また大変な音楽好きで、イベントやお祭り、大規模な葬儀の際には、常にブラス・バンドが出動する。 人口は首都があるトンガタプ島に集中し、離島部は減少傾向にある。2021年の国勢調査(暫定的結果)では、総人口100,209人に対し、トンガタプ諸島が74,454人、ついでババウ諸島が14,283人、ハアパイ諸島5,419人、エウア島4,903人、ニウアス諸島1,150人となっている。合計特殊出生率が3.51(2019年世界銀行)にも関わらず、総人口が2011

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