ナウルガイドブック
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4政 治経 済が、年により様々で一定していない。過去の年間降雨量の最高は4,572mm(1940 年)で、最低は300mm(1950年)となっている。降雨量は年による変化が大きく、近年では2022年に、100年ぶりとも言われる規模の干ばつに見舞われた。 ナウルには政党は存在せず、政策課題よりも親類関係や個人の人脈が重視され、派閥が形成される傾向にある。2000年代初頭には、燐鉱石の枯渇の問題に加え、公務員への給与未払いやOECD諸国からオフショア・バンキングによるマネーロンダリングに関与していることに対する懸念が向けられた結果、ナウルは財政危機を迎えた。議会においても大統領指名に関して多数派工作が行われ、短期間の政権が続く時期も存在したが、2010年代以降は比較的安定している傾向にある。 外交の上では、地理的近接性から、豪州・ NZをはじめ太平洋島嶼国との結びつきが強く、米国とも良好な関係を維持している。また中国と台湾の間で外交関係をしばしば変更するケースが起きている。当初、ナウルは台湾と国交を有していたが、2002年7月に断交し、中国と国交を樹立した。しかしながら、2005年5月、台湾との国交を再樹立したが、2024年1月、中国との国交を再開。 ナウル経済は燐鉱石の輸出に依存してきた。1990年代に入ると、燐鉱石の枯渇が問題となり、一時は海外輸出がストップし、国家財政を悪化させていった。政府は財政を立て直すため、公務員の削減および賃金カット、海外資産の整理、国営のナウル航空の運賃縮小などの政策を講じる一方、アジア開発銀行(ADB)の協力の下、国営企業の公社化、民営化など経済・金融構造改革を実施していった。2005年より燐鉱石の二次採掘を開始し、輸出も再開されるようになった。また、ナウル協定による入漁料収入も後押しし、経済状況は改善しつつある。ナウル政府は、リン鉱石の二次採掘を安定的に行っていく限り、2000年代初頭から換算して約30年は採掘を継続できると予測している。

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