は米国とのコンパクト改訂交渉を重ね、2010年9月、米国が今後15年間で2億3千万USDの財政支援をパラオに供与するとする第二次コンパクトに署名、2017年12月にアメリカ議会が修正コンパクト案を承認した。コンパクトに基づき、パラオの安全保障・国防上の権限と責任はアメリカが有する13。第二次コンパクトは2024年9月に期限を迎えるため、改訂交渉が行われている。 ⑦ 労働力・人的資源 パラオにおける教育制度は、憲法においてグレード1~12まで定められている初等教育(小学校)から中等教育(高等学校)までの6~17歳が義務教育対象である。総就学率は初等、中等教育ともに2014~2017年の間で100%に達しており、国民に対して、必要な義務教育が遍く提供されているといえる。中等教育のカリキュラム内に、学生のキャリア準備の一環として、農業、自動車技術、ビジネス情報、建設技術、健康、一般教養、及び観光・ホスピタリティといった科目において、座学及び実践的に学習する機会が提供されている14。パラオ唯一の高等教育機関であるパラオコミュニティカレッジ(Palau Community College)では、二年間の職業教育と大学教育のコースを履修することが出来る。ビジネス、看護、ホテルサービス、大工仕事、機械操作など、多様なコースを提供している15。 産業別では、行政関連の事業が最もGDP貢献度が高く、パラオ人の過半数が公務員であり、米国の財政支援をはじめとした多額の援助に支えられた政府部門での雇用や関連サービスが高い割合につながっている。全体としては第一次産業や第二次産業の占める割合は合計で10%程度と小さく、第三次産業が90%程度と非常に大きな割合となっている16。 労働市場は15~64歳の生産年齢人口に対して完全雇用に近い水準に達している。しかし、公的部門の労働者の大部分がパラオ国民であり、外国人は民間部門の労働者であるために、公的部門と民間部門の賃金差が問題として内在している17。また、法定最低賃金は時給3.00USDだが、外国人労働者は最低賃金法の対象にならない18。 ⑧ インフラストラクチャー パラオの主要舗装道路延長は計110kmあり、うちアスファルト舗装道路が94km、コンクリート舗装が16kmという構成となっている。橋梁は全国に9つ存在し、「日本-パラオ友好橋」が最大支間247m(橋長412m)で大規模であるが、他は全て支間50m未満の中小規模である。また、カルバートはコロール島及びバベルダオブ島に24函存在する19。 陸上交通は、自動車交通が唯一の交通手段で主に自家用車が利用されている。首都圏の9 13 日本外務省ウェブサイト 14 独立行政法人国際協力機構(2020)「パラオ国開発と投資促進に向けた経済・主要セクター情報収集・15 Palau Community Collegeウェブサイト 16 独立行政法人国際協力機構(2022)「パラオ共和国橋梁セクター情報収集・確認調査報告書」 17 独立行政法人国際協力機構(2022)「パラオ共和国橋梁セクター情報収集・確認調査報告書」 18 Minimum Wage.orgウェブサイト 19 独立行政法人国際協力機構(2022)「パラオ共和国橋梁セクター情報収集・確認調査報告書」 確認調査」
元のページ ../index.html#18