太平洋島嶼国投資ガイド
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(Communally-owned Lands)で行われる。この村落ベースの農業システムは、食糧需要に集団で対応し、リスクとコストをコミュニティ全体で軽減するという強みがある一方、農業の専門性を制限し、投資を抑制するため、市場経済化が進む中で効率と生産性を高めることができないという欠点がある。近年、民間企業による農業への投資は増加しており、農家は市場志向の生産に移行することに関心を高めている305。 送られ、残りは新鮮な冷蔵状態で、主に日本と米国に輸出されている。輸出されない沖合漁業の漁獲物は、主にアピア魚市場で地元へ販売されている306。 サモアには熱帯雨林が広く分布する。有用樹種も多く、1970年代頃には相当量が伐採され、外国に輸出されたようであるが、現在は森林政策が環境保全にシフトしており、大規模な伐採は行われていない。現在サモアで利用している建築材等は大半がニュージーランドからの輸入である307。 2014年の漁業はGDPの3.5%に該当し、2015年の魚介類の輸出額は1,340万USD、輸入額は860万USDであった。漁業はサモアの経済において重要な分野であり、国の全輸出額の30%以上が水産物で、全世帯の約4分の1が漁業による収入を得ている。サモアの排他的経済水域における漁獲量の約70%がビンナガであり、11%がキハダ、その他メバチやカツオが捕獲される。2016年のWestern and Central Pacific Fisheries Commission(WCPFC)の報告では、マグロの総輸出量の半分以上が冷凍マグロとしてアメリカ領サモアの缶詰工場に2019年の観光業はGDPの24.5%を占め、外貨の獲得源として送金に次ぐ分野である。サモア観光局は観光業が労働力全体の15%を雇用していると推定している。2019年の海外訪問者の38%が観光を目的とし、2億USD以上の経済効果があった。しかし、COVID-19による多大な影響を受け、2021年3月までに観光業従事者の半数にあたる約5,000人が職を失った308。2022年8月現在、ワクチン接種および陰性証明書を保有する全国の海外渡航者を受け入れている309。ADBは2022年4月時点で、観光が再開されたとしても2021年は前年比9.2%減、2022年は前年比3.1%増と、観光分野の全体的な縮小を予想している310。 142 305 World Bank(2019)Enviromental and Social Management Framework for Samoa Agriculture and Fisheries Productivity and Marketing Projet 306 FAO, Fishery and Aquaculture Country Profiles Samoa 307 公益財団法人 国際緑化推進センター 技術誌「海外の森林と林業」No.105(2019)「サモアの自然と文化- サモアにおけるJICAボランティア活動報告-」 308 Pacific Private Sector Development Initiative, Pacific Tourism Sector Snapshot Samoa 2021 309 Samoa Tourism Authorityウェブサイト 310 ADB Fact Sheet Samoa 2022 【水産業】 【林業】 【観光業】

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