太平洋島嶼国投資ガイド
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総論 日本は、太平洋島嶼地域に対し、1997年以降3年ごとに「太平洋・島サミット(以下、PALM)」を開催しており、PALMは首脳間の交流とともに、経済協力や政府開発援助を通じた包括的な対島嶼関係を構築する協議の場としての機能を果たしている。PALM 8、及び9では、共に首脳宣言で持続可能な発展の促進という柱を掲げ、貿易投資を含めた民間経済交流を進めていくことが重視されている。 また、近年、日本政府では省庁横断的に、太平洋島嶼地域への協力を進めていくことを再度強調するようになっており、そのための会議体として、2019年2月に太平洋島嶼国協力推進会議が設立された。同会議では、PALMとの整合性を持たせる形で、具体的な行動につなげていくための議論が行われており、自由で開かれたインド太平洋の実現を支える地域環境を維持・促進すべく、太平洋島嶼地域の安定・安全の確保、同地域の自立的・安定的な開発・発展の実現、日本との関係強化を目標として掲げ、基本方針として、(1)太平洋島嶼国に対して投入するリソースの増強、重点配分、(2)オールジャパンでの取組強化、及び(3)関係国との連携・役割分担促進の3点を挙げている。これらに基づき、2019年5月には3分野の具体的な取り組みの方向性も示されている。そのひとつには、「強靭かつ持続可能な発展」が掲げられており、経済・産業分野についても「貿易・投資の促進・産業育成・観光-総合的な観光産業の育成支援、貿易・投資ミッション」が挙げられている。 このように、日本と太平洋島嶼国との関係強化にとって、貿易・投資・観光は大きな柱の一つとして位置付けられているが、これらは民間部門が関与できる重点分野でもある。実際に、島嶼国側からは、各国産品の日本への輸出や、日本企業からの投資に対する期待が高い。 一方で、「太平洋島嶼国投資ガイド」は2010年の発行から12年が経過し、最新情報に更新する必要があった。そのため、この度、パラオ共和国、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、キリバス共和国、パプアニューギニア独立国、ソロモン諸島、バヌアツ共和国、フィジー共和国、サモア独立国、トンガ王国、クック諸島、ニウエ、及びツバルの14の国々を対象とし、同投資ガイドを改訂することとした。 記載情報については、各国の国家開発戦略・計画・ビジョン、各国の統計局の公開情報、国際機関等の公開情報だけでなく、各国の投資促進機関等への質問票の送付等を通じ、非公開情報についてもできる限り収集し、整理した。 各国は下表の国家開発戦略・計画・ビジョンを策定し、同戦略・計画・ビジョンに沿った開発を進めている。各国への投資を検討する際は同戦略・計画・ビジョン、及び各国が策定する投資政策(各国の「⑨ 投資政策・法令」参照)も参考になる。 1

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