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―ミクロネシア連邦チューク州紀行―

ミクロネシア連邦の州の一つ、チューク州を訪れた島田裕子さんの旅行記をお届けします。

2016年 5月下旬、はじめてミクロネシア連邦チューク州の島々を訪れました。今回、ミクロネシア連邦に訪れるきっかけとなったのは、ミクロネシア連邦大使館の秘書を勤められている草柳卓江さんとのご縁をいただいたことがきっかけです。

旅の目的のひとつは、戦没者の方々への慰霊と恩返しの旅です。ミクロネシア連邦という場所は、太平洋戦争の際、日本軍の拠点があり、今でも沢山の沈没艦船が眠っている場所でもあります。様々な歴史を知り、その場所で亡くなられた戦没者の方々へ、そして、たくさんの日本人を受け入れて下さった島の方々へ、私達が日本人として出来ることをさせていただきたいという想いがこの旅のきっかけとなりました。

今回の旅を共にした仲間を紹介します。
ミクロネシア連邦大使館秘書・草柳卓江さん
歌手・高橋洋子さん
日本代表ラフティングチーム監督・浅野重人さん
ヘアーメイクアップアーティスト・島田裕子
今回の旅はみんなそれぞれに職種はバラバラなのですが、ご縁があって繋がり、一つの想いをもって4名でチューク州へ出発しました。

 

ミクロネシア連邦までは成田から飛行機でグアムに 1泊経由して向かいました。グアムからチューク州のウエノ島までは1時間弱の飛行時間です。向かう飛行機の中からは綺麗な虹も姿を見せ、ミクロネシア連邦に近づくに連れて見えてくる景色は私達の気持ちをワクワクさせる程、美しい珊瑚礁や青く澄んだ綺麗な海が迎えてくれました。

 

 

 

【南国・チューク州のウエノ島に到着!!】

空港に到着すると、心地良い風に包まれ、レイと花冠をもった現地の女性が温かく迎えて下さいました。お花の香りに包まれ、島の方々の温かい気持ちが伝わってきてとても嬉しかったです。まさに南国!!楽園ですね!!

 

【フリッツ大使の弟メイソンさんと対面】

私達が今回、滞在した場所はチューク州にあるウエノ島という島に滞在しました。
初日は現地で大使の弟さんとお会いし、チューク州の歴史や島の現状のお話を伺いました。
その後、ウエノ島内を案内して下さいました。
ミクロネシアには現在も唯一残る伝統航海術(スターナビゲーション)が伝承されている島でもありますが、今では情報や物質が便利になり、昔から大切にされてきた知恵や感覚などが鈍くなってきているという現状もあるそうです。

さらにメイソンさんがチューク人に伝わる言われを教えて下さいました。

チュークの人が海で釣りをしていました。
すると中国人がきて、その魚を売ってくれといいます。
チューク人「その魚を売ってどうするんだい?」
中国人「売ってお金を儲けるんだよ」
チューク人「儲けてどうするんだい?」
中国人「もっと大きな船を買って儲けるんだ」
チューク人「そしたらどうするんだい?」
中国人「そしたらもっと儲けて大きな家を買うんだ」
チューク人「そしてどうするんだい?」
中国人「そして、働かなくて良いようになりたいんだよ」
するとチューク人「それなら、今、まさにやってるよ」

ヤシの葉で作られた休憩所

物質が豊かになっている社会だからこそ、求めることに目がいってしまいますが、実はもうすでにある。
満たされている。恵まれている。
必要な物を必要な分だけ、自然から感謝していただく。
自然と共に生きる生活がここチュークにある。
人間の為にある地球ではなく、人間はもともと、この地球の上に生かされてるということ、この話を聴いて、とても考えさせられました。

 

 

【鎮魂の祈り】

戦艦大和と武蔵が係留されていたブイ

ミクロネシア連邦は太平洋戦争の舞台にもなっていて、今も尚、沢山の日本の戦艦がミクロネシア諸島に沈んでいます。
実際に海の下を見ると、戦艦が当時のままの状態で沈んでいました。
私達に出来る事をさせていただこうと。
ミクロネシアの海に眠る沢山の戦没者の方々に対しての鎮魂の祈り捧げました。

 

 

 

 

【教会で唄のコラボレーション】

滞在中に話の中で「日曜日に教会で集会があるから、もしよかったらそこで唄を歌いませんか?」と大使の弟さんから歌手の高橋さんへ、ご提案をいただき、急遽集会で唄う事が決まりました。唄う曲は、ミクロネシア連邦国歌、そして皆さんもよくご存知の『アメージング・グレース』です。メイソンさんのギターと高橋さんの唄、さらには同じ期間にウエノ島を訪問されていたミクロネシア連邦大使館のフリッツ大使もお忙しい中、お時間をつくってかけつけて下さいました。
そして、大使とも一緒にウクレレと唄のコラボレーション。
当日は沢山の方々が噂を聞きつけて、教会に集まりました。

私達も日本から『ゆかた』を持参していたので、ゆかたを着付けてドレスアップ。

 

高橋さんの唄うアメージング・グレースに涙を流して聞き入っている島の人達の姿を拝見し、心にジーンと感じるものがありました。
唄は国境を越えて人と人を繋ぎ、人の心を温かくし、本当に素晴らしいなと感じました。
その場をみんなで共感できたことはとても貴重な経験となりました。

目を輝かせる子供たち

 

メイソンさんのギターと歌手・高橋洋子さんの唄のコラボレーション

 

【チューク女性協議会でボランティア活動】

次の日はチューク女性協議会(CWC)というチューク州の女性への自立・健康増進活動を支援している団体があり、ヘアーメイクとして現地の女性のヘアーセットのボランティア活動をさせていだきました。15名程の女性が集まってきて下さり、2時間で 10名の方のヘアーを担当させていただきました。島の皆さんに美容を通して、喜んで笑顔になっていく姿が見られてとても嬉しかったです。
また、現地の女性の皆さんは手先が器用な方々ばかりで美容師である私自身もとても刺激を受け、逆に勉強させてもらうことばかりでした。今回の貴重な経験がまた何かのカタチで地域の人達の力になれたらと思っています。

ヘアーセット後、とっても素敵な笑顔で記念写真

 

 

【アイランドホッピング】

チューク州はたくさんの島々によって成り立っています。
島が密集しているウエノ島からは船で色々な島に渡る事ができます。無人島に行ったり、シュノーケリングをしたり、カヌーをしたりと様々なアクティビティーもミクロネシア連邦ならではの魅力ではないでしょうか。
現日本代表ラフティングチーム監督をつとめる浅野さんは現在は子ども達向けに、自然体験活動も行なっていて、「いつかここで子ども達向けに自然体験をさせてあげたい」と話していました。
自然から学ぶこと、自然が教えてくれること、海と共にある生活が息づいている、ミクロネシア連邦にはその知恵や文化が残っています。

 

【天然ハーブでデトックス体験!!】

最終日はチューク州ならではのデトックス体験をさせていただきました!
早朝に山から採れたての天然薬草ハーブを煮詰め液体状にしたところに熱く熱した石を入れて、出てきた蒸気の中で蒸し風呂のように汗をいっぱいかいて、身体の中の毒素を外に出していきます。
それを3回程、繰り返していきます。
チューク州に伝わる叡智を体感させていただきました。
休憩時には新鮮なココナッツジュースをいただいて、即効性は抜群でした!!

 

 

 

【ありがとう!ミクロネシア連邦】

初めてのチューク州での旅は本当に素晴らしい体験の毎日でした。
美しい珊瑚礁に囲まれた島々、透き通るブルーの海、青く澄んだ空、地平線に沈む夕焼け、自然の美しさ、彩り、人間は生きているのではなく、この地球の上に生かされているという事を体感をもって感じる旅となりました。
自然からの恵みがあってこそ、昔の人々は自然界ともっと密接に関わってきたその歴史や伝統が残ってるミクロネシア連邦から私達が学ばせてもらう事が沢山ありました。
またどこに行っても島の人達が温かく向かい入れて下さり、家族のように接して下さったことがとても印象に残っています。相手に対しての思いやりの心、言葉は分からなくても心で通じるものを感じ、帰る頃には家族と分かれるかのような感覚でした。
ミクロネシアの魅力を肌で感じ、またご縁がありましたら、ミクロネシア連邦を訪れたいと思っています。
そして、今回の旅のもともとのきっかけとなったミクロネシア連邦大使館・秘書の草柳さん、またフリッツ大使をはじめ、現地でご縁をいただきました、皆様に心より感謝申し上げます。

美しい自然が残るミクロネシア連邦。
チューク語で『チェチェメニ』という言葉があります。
『思い出せ』という意味があるそうです。
お世話になった皆様へ感謝の気持ちを込めて・・・。

2016年12月21日
島田裕子