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PACIFIC ANYTHING[ 太平洋なんでも箱 ]

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マーシャル あわさい(マーシャル諸島)

2017年度3次隊JICA SV 金沢正文(Marshall Islands, Majuro在住,Majuro Atoll Waste Company勤務)

はじめに

みなさん初めまして、JICAシニアボランティア(以下、JICA SVとします)の金沢と申します。今後、2年間南洋にあるオセアニア諸国の一つであるマーシャル諸島共和国(Republic of Marshall Islands ;略してRMI)の現状をお知らせしつつ、改めて世界の中の日本というものを考えるヒントがご提供できればと思います。

タイトルの「あわさい」とは、京言葉など関西地域の古い方言で、「〜の間」という意味を示すそうです。日本とマーシャルの間で実際に暮らしてみて、理想的なバラ色だけではなく、また悲観的な灰色だけでもない等身大のマーシャルの暮らしぶりについて、一人の日本人を通して見える風景をお伝えしたいという思いで付けてみました。

筆者紹介

私は1957年(昭和32年)8月生まれで、ちょうど60歳還暦のタイミングでJICASVに合格しました。それまでの34年間の化学系エンジニアリング会社を定年退社して、今回初めてのJICAボランティアに参加することになりました。学生時代からワンダーフォーゲル部に所属し、社会人になっても相変わらず山に親しんでいたのですが、その時に出会った人生の先輩ともいう方にシニアボランティアという生き方もあるということを教えていただき、いつかはJICASVに応募したいという憧れを抱いておりました。その後もいろんな方との出会いがあり、丁度この定年のタイミングでの応募となりました。

会社員の時代は、主に環境影響評価(いわゆる環境アセスメント)という環境配慮に関する仕事に関わっていました。大規模な開発事業(例えば、ゴルフ場、工業団地、廃棄物処分場など)による大気や水や生物等々に与える影響を先ず予測します。もし、その影響が大きいと評価された場合、対応策を検討するという公共的な手続きをコンサルタントとしてお手伝いするという仕事を長年従事しておりました。環境アセスメントの対象として廃棄物処分場も数多く経験していたことから、今回のマーシャルでの廃棄物処理という分野での派遣となりました。

今後の予定

派遣期間が2018/1/16〜2020/1/15の2年間、できれば毎月1回のペースで本紙を発行したいと考えております。また、専門が廃棄物ということですので、肩肘張らずに個人的視点からマーシャルの廃棄物などの現状、そして日本の環境について考えるヒントをご提供したいと思います。

1.今月までのトピックス<個人的なトピックスを中心に時系列で示します>

◆2017/10/5〜11/8 JICA駒ヶ根訓練所(KTC)にて、35日間の派遣前研修終了
2017年度3次隊として127名の青年協力隊員(JV)候補と20名のSV候補の35日間の合宿訓練に参加。多くのJV、SV候補の方々と寝食を共にしつつ、大いに語りました。何だか自分でもこんなことができるんだという可能性が少しばかり広がった気がしました。

◆2017/11/9〜2018/1/15 Webによる語学研修および慌ただしく出国準備
KTCのフィリピン人英語教師と10週間のレッスンを通じて、実践的なトレーニングと共に日本とフィリピンの文化の違いも実感しました。また、マーシャルでのスキューバダイビングに備えて、なんとかダイビングライセンスも取得完了です。

◆2018/1/16〜1/17成田出発→Guam(泊)→Chuuk →Pohnpei →Kwajalein →Majuro到着
木工の職業訓練を専門とするもう1名のSVおよび奥さん、子供さん2名の総勢5名にて出発。GuamからKwajaleinまで、クリスマス休暇でインドネシア人の奥さん、家族と過ごして、勤務地のKwajalein米軍基地へ戻る途中の隣席の米国人と意気投合。空港停機毎に空港散歩をしつつ彼の家族自慢話を拝聴。2年前に行ったという南極米軍基地での写真に思わず魅入ってしまいました。私もきっといつかは南極に行くぜと、熱く彼に語りかけていました。

◆2018/1/17〜1/23 JICAマーシャル支所でのオリエンテーション
Majuro空港でのJICA支局の職員、JV、SV総勢10名の熱烈歓迎を受けて、翌日からの詰め込みオリエンテーションにて、マーシャルおよび勤務先の現状をおぼろげながら把握できました。「慌てず、焦らず、諦めず」の精神で取り組むこととします。

◆2018/1/24
〜いよいよ、Majuro Atoll Waste Company(MAWC;マジュロ環礁廃棄物公社)での勤務開始です。

2.今月の風景より

<メモとして記録した写真からマーシャルの生活を眺めて見ます>

◆1/18 市内ツアーにて
市内スーパーには種類は多くないものの、新鮮な野菜、果物が満載(貨物船が2日ほど前に入港のためとの説明)。米国産の加工品も多く、ここからもアメリカナイズされた生活が垣間見え。

 

 

 

◆1/19 共同宿泊施設裏口にて初めての海水浴
海は暖かく、透明度が高いので海底のサンゴもよく見えるのですが、海岸には打ち上げられたゴミの山が多数。

 

 

 

 

◆1/23 マジュロ中央道路風景
日本政府資金供与により整備されたマジュロ中央道路。スコールの後はこのように排水が溢れています。道路側溝があるのですが、側溝堆積土砂除去という維持管理が未定着のようです。

 

 

 

 

 

3.今月のデータより<今月出会った興味深いデータを読み解いて見たいと思います>

「The Marshall Islands Jounal 2018/01/19(Fri)発行」より“RMI exodus to promised land”(見出し直訳「RMI出国記、約束された島へ」)
本文の概要では、首都のあるMajuroでは最近2回の国勢調査(1999年、2011年)で23,676人から27,797人へ17%の増加。今後、2027年には33,292人まで増加と予測。その他の大部分の諸島はゆっくりあるいは急速、かつ確実に人口減少が進み、今後も予想されると報じています。確かに右表を見ると、Majuro以外では米軍基地のKwajaleinとJaluit,Lae,Lib,Rongelap,Utrikを除く、その他の諸島では全て人口増加はないと予測されています。見出しにあるように、過疎が進む多くの諸島と人口集中著しいMajuroというマーシャルの現状が見えてきます。本記事以外に、Majuroでは大きな出生率や人口流入にも関わらず、それ程高くない人口増加率や国外(主に米国)に流出する労働人口と言った課題もあるようですが、これはまた次の機会に譲ることにします。

 

 

4.今月の雑感<今月感じたことを雑感として書き綴って見ます>

『幸せってなんだろう』

1978年3月大学1回生のワンゲル部創部20周年記念春合宿として初めての海外登山の台湾玉山(ユイシャン)遠征の時。そして、1999年12月〜2000年1月の社会人で行ったネパール・ランタン山域トレッキングの時も痛感したのですが、今回も全く同じような感覚を覚えています。それは、本当の幸せってなんだろうかという自問のような感覚です。

確かに、今の日本ほど安全で、清潔で、モノに溢れている国はない、と耳にタコができるほど聞かされてきて、実際外から見ると間違いなく正しい描写だと思います。でも、中で住んでいる人々に対して「本当に幸せですか」と問うた時に自信を持ってYesと言い切れる人は一体どれ位いるのでしょうか?

マーシャルでは、パソコン一つで欲しいものは何でも翌日にはamazonから宅急便で自宅に届くような生活があるわけではありません(ただし、amazon USを使えば、航空便で自宅まで届くらしいですが)。でも、それがどうしたという感覚です。別にほしいものが翌日手に入らないところで、生活していく上で決定的に困るわけではありません。その時は地元の人々がよく言うように「Emman」と言ってやり過ごせば何とかなるものです。マーシャルの人々はみんな穏やかで、親切で、そして幸せそうに見えます(JICAという立場での第一印象ではありますが)。だけれども、こちらの方にとって、日本は間違いなく憧れの国の一つでもあります。“現状では満足できない不幸せ(かもしれない)日本”と“現状でも満足できる幸せ(かもしれない)のマーシャル”というキーワードが頭の中を巡っています。

以上(2018/2/4 記)